あの暑かった夏は今どこへ・・? そんな感じの、11/21(金)陽射しの温かさが心地よい午後2時から下記の通りサイバー例会を行いました。
日時: 2025年11月21日(金)14:00~16:20
場所: 各自自宅(オンライン)
発表: 『サラリーマンから農家に変わって』(安永会員)
参加者:林憲男、小峯茂樹、生駒憲治、中澤雅則、土師克己、
寺山幸男、安永正志、本多孝之、中島汎仁(敬称略)
今回の発表は、7月から参加された九州在住の安永会員から『サラリーマンから農家に変わって』と題する本格的な稲作事業の紹介でした。
今回のメンバー

これまでの園芸関連の話題とは趣が異なり、8haに及ぶ広大な田んぼ・・といっても、平地ではなく緩やかな傾斜地に階段状の田がおよそ40枚ほど点在するそんな耕作地を一人で切り盛りしているというのです。
耕作地地図(点線内は来年からの耕作地)

実家はもともと農家であったようですが、安永会員は技術者として入社し、会社人間として過ごし、関連会社勤めを経て、9年前にサラリーマン生活に別れを告げて、この道に入られたとか。
農業を始めた時は全くの素人で、高齢のため農家を辞めたばかりの親から教えを請い、耕作地の一部を使って、農業を開始。お父様が他界されて後は、自分自身で毎年、工夫・実践して「農家」を営んでいるそうです。この5年程、近隣の農家から耕作依頼があり、担当する耕作地はどんどん増大する一方で、来年の耕作地は、更に2haほど増える予定のようです。
8ha(1ha=100m×100m)といっても、ピンときませんが、私が高校同期の10人でやっていた『蓼科農園』の畑の広さが約1000㎡(1反)ですから、8haはざっと80倍の広さということで改めて驚いています。
この8haの半分は食用米栽培に充て、残り半分はWCS(Whole Crop Silage発酵粗飼料用稲)という籾より茎や葉に糖分を多く貯め、多く収穫する背の高い牛用の飼料米で、肉用牛(黒毛和牛等)飼育の牧場との契約により、栽培されています。
これらの米作は、稼働分散と、台風災害のリスク回避のため、いわゆる時間差育成で実施され、下図にあるように、早期米、普通米など作付け時期をずらしながら、春3月から9月末にかけて、栽培されているようです。

主な農機具とその様子・・



これほどの作業を、籾まきと田植えに2人、収穫時期に1人を各1週間ほどパート雇用する以外一人ですべてをこなし、なおかつこの他にビワやイチジクなど果樹栽培もしているとのことでした。
発表はとても快活な説明で明るい表情は自信に満ちた現役そのものの感があります。

今後の展望についても持論が展開され、将来的な米作農家のあり方などにも体験を通した展望が述べられていました。消費者需要の点から見た米価、生産者維持発展面から見た米価のあり方に触れ、さらにこれら需給バランスを維持するため、中規模農家を含む生産者への収入や価格面に一定の保証制度が確立されることも重要ではないかとの見解がありました。
また、現在高騰している米価については、カリフォルニア米(カルローズ)の輸入価格と同等レベルの700円/kg程度の市場価格が妥当では?との見方が提示されていました。
ウクライナが戦火に見舞われてから、農業肥料(ソ連とベラルーシのシェアが高い)やトウモロコシなど家畜飼料が急騰し、これら農家や酪農家にとって大きな痛手となっている現状を消費者サイドの皆様方にも理解頂きたいとも言及されていました。
牧場が近隣に控えていて、牛の餌となるWCS栽培が出来るなどの好環境もあり、事業としてもどうにか採算がとれている状況にあるようで、今しばらく体力が続く限り続ける予定だそうですが、その後、後継者をどの様に確保・育成するかの事案については、まさに今日的な大きな課題となっているようです。
発表後、米作そのものについても興味のある事柄がいくつもある上、現状の生産者保護、消費者米価、政府政策などの問題、さらには将来的な食糧自給問題に至る広範な事項について、活発な質問、意見が飛び交い、充実したサロンが展開され有意義な時間となりました。
このような事業を目指した農業のあり方等については、これまでの「園芸友の会」的な事項に対して生々しい刺激的な側面を含む案件でもあり、ある意味カルチャーショックでもありました。
16時半近くまで活発な議論が展開され、まだまだ意見もありましたが2時間を超えましたので、お開きとなりました。
貴重な発表と熱心な議論展開に一同満足したのでした。ありがとうございました。
(中島汎仁記)
*お問い合わせなどお気軽にどうぞ・・中島まで。
メルアド: h.naka@crocus.ocn.ne.jp
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